2021-01-01から1年間の記事一覧

white heat

* 粛清された犬どもが夜にむかって吠えている 大勢の観客が回転する場所で、花火が炸裂する 仄かに明るくなった公園で、子連れの男が反転チェストを決める 特撮ヒーローたちの抜け殻が、永遠の夏休みのなかで甦るのはきっと幻だ 最新のリマスターで発色のい…

ボストンでは禁止

* おれはたったいま、ビル風に吹かれた一枚のスリップを眺めている ここは小さなアパートメントの最上階 地上ではひとりの男が戦闘機めがけてジャンプしている 声はここにない 中枢都市の神経を逆なでするような陽物が痙攣のなかでひどく気持ちいい 石油が…

* だれがいったい鍵をあけてしまったのか ひとがガラス板のある風景を過ぎるのは正体を失った11月の企み そしてためらいのなかでおれは身体の痛みに耐えている 生きる方法を見失って、夜の廊下に倒れ、そのまま夢を見る 夢はカラー、16ミリで撮影され、モノ…

radio days

* 花の懶惰が咲き乱れる そんなに美しくていいのかと呼びかける 回転草とともに去る一匹の禽獣が薄明るいほどろのなかで、輝きながら消滅する 樹液を通した世界があまりにも脆く、突き刺さる森はあるとき、スローモーションで顔を変える 一匙の塩と、花びら…

喪失

* 星の気まぐれのせいか、頭痛がやまない 方位を失った夜がおれのなかで疼く回数を数えつづける なまえのない花がフルオートで発射された 季節はわからない 地下鉄にゆられる脊髄がいまにも弾けそうだという理由で抜き取られる 熱病に罹った群れが朝を待ち…

meaning of life

10月の暑い夜 * ブラジルから来た少年が通りで撃ち殺される 被疑者は嘆きの壁で、沈黙を貫いている 取調室は熱で彎曲していて、とても歪だ キュビズムが侵入した形跡もないのに、シュールレアリズムが混入したわけもないのに、ただ一輪の花が中央に活けられ…

花に嵐

* ハナニアラシ 花にまつわる文法についての挿話 送り火がまわる芒原の果てでホールデンを幻視する鰥夫の男 発熱のやまない室で、氷水が爆発する深夜 仔牛の肝臓を輪切りにする作業のなかで、淋病患者の呻きが聞えた 惑星は消える 失われた12使徒を妄想する…

green hill hotel

green hill hotel * 星の所在がわからないばかりに、だれもいなくなった室で銀鮭を輪切りにする もはや秘密を持たないからだが鬱と躁のあいだを駈巡る 天文学と植物学を結合したあの手が 男の内奥に侵入して帰って来ない夜 ヴィジョンは討論されないまま、…

a vision

* すべてが星に還るとき、射貫かれた魂しいが歩き去ってしまう 駅のポスターが燃えながら笑むとき、女工たちが波のようにゆれる かたわらに犬を連れた男が空中散歩を試みる夜 できそこないのじぶんを正当化したいがために、電柱を登る たとえばきみが知らな…

the death and life of dismeaning

rush over the lifetime * ラッシュフィルムを装填する婦人会の集いが終わる 月曜日の朝どき 乱反射する小島なおが韻律のなかで回転するのを床屋の主人が見守っている 薄汚れた窓だった スカーフの赤さがあたらしい9月、それを求めていっせいに選手たちが飛…

黄色い詩人たちへの手紙

路上 詩のグループが解散してしまった 女4人がいきなり抜けてしまったからで その理由はたぶんおれの存在にある おれはひとを不快にさせる その点、群を抜いてる だっておれはペスト だっておれは毒ガス 歩きながら、そう考えた 詩誌や歌誌に誘って欲しいと…

ふたつのヒート

夏の終わり * 陽物志向のつよい主人公について語る必要があったのは真夏 発見された死体には金塊が隠されていたという事実ともにやって来る真夏 ボートレースの舟券師がセンタープール内を見渡す午後 脂肪を蓄えた腹で、スポーツ新聞を抱えて、静かに歩く …

a nut head with rainlung [part 2]

a nut head with rainlung [part 2] * 花が降る 桔梗が好きだった子供時代をおもうとき、葬儀屋の娘が剪定鋏を失ってしまう だからといってみな殺しにするわけにはいかない 時計職人の眼のなかの針 はじめて動きだした時間がじぶんを獲得するなかで、わたし…

死についての戯れ

a gaslighting with summer * 愉しい対面授業も終わりです 夏の光り、あるいは突堤のひとびとが転落する海が大好きです 電子計算機が回転するデパートの屋上で、演説をつづける右翼のために水を 水を汲んで来ます やがて暗転する頭上で雲がわだかまる㋇、息…

それらしい紙片

花の過失 たどり着く花の過失よ恐怖とは過去の国からやって来るもの ひるがえる夜のマントよかくれんぼする子供らを連れて去るかな シャッター街つづく路次ゆく道わずかふるえてる 死の祈り黒衣のなかに育まれ、やがてだれかのかげふみ遊び 労働歌、ブルース…

都市と生活〈1〉

www.youtube.com * 男の顔が心臓と酷似する夜だった カーブミラーのなかで膨張しつづけるフロント係が一瞬消えてしまう 涙みたいなビート ないもないところに回転灯だけが寂しい からだの部品を少しづつ失いながら歩くひとびとがキーパンチャーを売却するの…

hello, it's me 

* テクニカラーと、アメリカの夜によって棄てられた俳優の路上 朝までずっと最終出口をさまよう深夜帯 だれにも求められないことが、なぜか嬉しい ハイウェイを望む橋で、君が代を歌いつづける動機がうら若い夜だった たしかにおれは目撃した 映写技師が撃た…

atomics season

* 飛行士の黄昏をかき分けて、青果物を売りにゆくのがぼくの弟です 鞄がゆれる 靴が跳ねる 時計職人になれなかった弟ですから 厚揚げにオクラを刺して遊ぶのはやめなさい どうか、ペパーミント・チョコレートをぼくにくだざい 寄る辺を求め、天才にも負けな…

It's a long way back to Germany

www.youtube.com * 花が回転する 蕊が発射され、少年の顔面を貫くのは方程式の手解き 悲しみを知らない石のために水を枯らすのは箱庭の抒情と、拳 たとえばあなたのなかで芽吹く敵意にだれも気づかってやれないときに、鱗を生やしたアルコール中毒者がふりあ…