2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

短歌日記47

* ひとりずつ彼方へ消える冬の陽のもっとも昏い草原の果て 汝らに道などあらじ素裸で荊のなかに閉じ込められん ひとたらしの術ばかり憶えて中年の自身を憾む 真夜中の鈴 みどりごのみどりいろなる産着には赤い葉っぱが降り注ぐままなり 痛苦すら物語なり 芽…

短歌日記45

* 夕月の朧気なるを見つむるにひとはみな煙になるべし わが腿の火傷の痕よいままさに発光せし夜半の厨 なつのべに帰るところもなきがまま寄る辺を探すわれのさみしさ ゲートにて凭るるわれよ黒人の肩にゆれたる水瓶を見る 意志のないふりをつづけて文鳥の一…

短歌日記44

倖せという字を棄てる野辺に真っ赤な花咲くとき 咎人のわれが触れよとするまたたきに鳥の一羽が去ってしまった ヘロインの売人・歌う数え唄・ヤク中だらけの朝の街角 河枯れる陽だまりありぬ牛またぐ子供のかずを数える真昼 なみだぐむ玉葱姫よかなしみは心…