かつて「夢のなかの同窓会」という短篇を書いてた
ノートを喪って
いまはもうこの世には存在しない
わたしはずっと
わたしを見棄てたものの正体を
明かすことに夜をつかった
短篇の内容はこうだ、
古紙回収業者のわたしは馘首になって町へでるんだ
ひどく酔って塒を求めてると
かつての同級生たちに出会すんだ
求められない自身を拗ねて
かれらに搦む
でもわたしはそれを夢とおもってる
かれらに金を恵んでもらって
中之島を臨む河岸にて眠る
あさになってわたしはポケットの金に気づき
本を買いに歩く
しかし河に落ちて死ぬ
れもんの匂いが遠くからして来た
運河に光りが差し、
水死人を
悼む
謹