2024-03-27から1日間の記事一覧

れもんの若い木々

れもんの若い木々 * 初秋だった。北部の田舎からでて、金が尽きてしまい、更生センターで寝てた。『ブルックリン最終出口』を読みながら。そこでは夕方の5時から朝の8時まで泊めてくれる。駅のすぐそばにあって、建物は小さいけど、心地よい清潔さがあっ…

旅路は美しく、旅人は善良だというのに(2/2)

* 初夏の夜だ。呑み屋通りを抜けて大きな本屋のまえへでた。ひと待ち顔の群れむれがやかましい。円柱のでっかい広告。派手なべべを着た女に表情なしでプロバイダを奨められた。その胸に手を当ててみたい。いつか、あれのねたに使おう。またふたりしてポケッ…

旅路は美しく、旅人は善良だというのに(1/2)

旅路は美しく、旅人は善良だというのに * カウンター席に座って、横の止まり木を見る。小さな紙切れが名札のように貼ってあった。たしか、こんなふうなことが書かれてあったとおもう。――ふたりの少年がやってきて、おれのことで妹をつかまえていった。だか…