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くちびるの薄き女が立ちあがる空港行きのライナーのまえ
夏終わる金魚の群れの死するまで鰭濁るまで語る悲歌なし
もしぼくがぼくでないならそれでよし住民票の写しを貰う
悲しみが澱むまでには乗るだろう17系統のバスはまだ来ず
ひぐらしも聞えて来ないゆうぐれの最初の合図きみ送らず
遠からずぼくが不在になる席にきみが坐ればそれでよしかな
空転すタイヤ啼きおりトラックのうしろ姿がむなしい夕べ
敵を愛す心もあらずいつわりの手ばかりうごく月曜の夜
よすがなどなくてひとつの花を折るてごころもない九月のおれ
よこがおのするどき真夏終えて来てひとり慰む第二芸術
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○歌論のためのノート
文学フリマが終わってふつかも経っているが、いまだに失意が拭えない。あれほどのひとがあっても見向きもされない短歌というジャンル。それを継続することにややためらいができてしまった。快復のためになにかべつのものでも書こうとおもう。
2023年9月12日