2023-09-20から1日間の記事一覧

短歌日記69

天籟とピンボール * 獅子神の蹄のあとに咲き誇る花があるらし血の匂いする やまなみに融けるものみなすべて秋暮れてたちまち花かげもなく 社会性なきゆえわれに降りかかるプレヴェールの枯れ葉のあまた 自裁ならずして存ることのなさけなさか道失えるきみ …

短歌日記68

ぼくらが幽霊になるまでに 捧げられたものと与えるものの区別がつかないままで、 ぼくは語って、きみは答えた、のはぜんぶがぜんぶ正解じゃないから なにものともつかない悪夢を乗せて亡霊がインターステイツを走る あかときのまぼろしみたいなかたちでもっ…

短歌日記67

* くちびるの薄き女が立ちあがる空港行きのライナーのまえ 夏終わる金魚の群れの死するまで鰭濁るまで語る悲歌なし もしぼくがぼくでないならそれでよし住民票の写しを貰う 悲しみが澱むまでには乗るだろう17系統のバスはまだ来ず ひぐらしも聞えて来ないゆ…

短歌日記66

* 泣きそうな顔で見つめる 西陽にはきみの知らない情景がある 汗の染むシャツの襟ぐり 指でもてなぞるたえまない陽の光りのなかで きのうとはちがうひとだね きみがまた変身してる九月の終わり 涙顔するはきのうのきみのはず いてもたってもいられぬ孤独 探…