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救いなど求むる心勝るとき一羽の小鳥撃ち落としたり
なだらかな地平の上を泳ぐ雲 われもいつか飛ばん
ひとの死のもっとも暗い場所を掘る わが一生を忘れるために
森深くありたりひとり岩に坐すいずれ迎える臨終に寄せ
過去よりも信ずるものがなにもなく回転木馬に乗りたくおもう
なによりもわが手を憾む犯罪ののち咲きたる花を奪えり
山吹の花を両手に捧げたる少女のひとりかげを失う
あたかも夜半にめざめた電柱のごとくに立ってゐる男
どうであれわれにかちめのなきことを書き溜めて寂しき詩篇
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