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同志不在なり萌えながら立つみどりたちやけに眩しく
地図上を旅する蟻よ思想なき犯意のなかのわれらが国家
期してまだ挑むことさえできぬまま遠くの海の潮騒やまず
鳥籠のかげが寂しくほぐれゆく夕暮れどきの落胆ばかり
監獄に夏蝶ひとつ放たれてわれは呼吸を重ねてゐたり
手のひらに乾く葡萄よ革命の響き至らずきょうも過ぎたり
不貞知らずままに老いゆく旧暦の四月が暮れゆく
望まれぬ枝を間引いて立ちあがるかれの微笑のゆえなど知らず
眠りなき男の心理伏射する姿勢のままで吊るされながら
地平あれど国あらず花いちりんのメソッド演技
にっぽん脱出できぬ五月雨色の国家の衰亡
けだもののように雨降るチリコンカン煮ゆる鍋はいつも赤い
深夜高速回転する月の光りあらばきみを愛しくおもう
放浪の夢を語れるわれの夜、有蓋貨車にゆられる夜よ
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