「孤独のわけまえ」

 ロージー・フロストにかかわる男はみんな死ぬ
 薬物中毒のかの女はじぶんにかかわる男たちを殺す
 兄のハンク以外のすべての男を裏切ってきた
 最期には組織の男スコフスキイでさえも
 顔ごと吹っ飛ばしてしまった
 かの女を愛した男はその次の瞬間、心臓を失った
 そしてまた兄の腕に抱かれ、
 薬に手をつける
 「愛とはセックスの誤植」に過ぎないのか、
 ハーラン・エリスンの書物に疑問符を突き立てる暇もなく、
 死んだ日本人、ドラムとギターのふたりは幽体のまま車で州間道路を突っ走る。

 孤独のわけまえが欲しい
 肉体と肉体を繋ぐのは端金でもかまわない
 でも──とおもう、
 魂しいと魂しいとを繋ぐものは金じゃないだろう
 いくらあっても手に入らない砂漠の赤い花みたいだ
 わたしの心とだれかの心とを繋ぐハイウェイが欲しい
 深夜放送のノイズのなかで明滅する交通情報
 わたしのなかのアメリカをあまねく照らす銀河は
 いまのところ、品切れ中である。