おそらく、
夢であることの悲しみは
だれもない室で展(ひら)いた本みたいなもの
町の中心で戦争が始まったから、
エールとビールを開けて祝福する
ひとを憎悪にかりたてるすべてが好きだ
でも、これだって夢、じぶんが目醒めてるという夢
囲いと鈎を身につけた牛が人間を焼く
災厄が心地よいところまで、
おれを追いかける
心理だ
荼毘だと繰り返す異端審問の男たちとともに
ファイヤーバードを呑み交わす
ところでこれが夢だとは
おれにはもはやわからない
放熱器を破壊された車がひとり、なまえを失った
回転するナイフが炎みたいに燃え、
われわれがもはや個人でないという喜びのなかで、
いままさに料金所を増殖させる
意味は敵だ、
人生は接続詞だ、
そして折り重なった死体にはだれであれ、心を動かされる、
そしてだれとも問わずにその夢に悲しむ。