とっぷりと暮れるときには会えていたころよものみな遠ざかるなか
あれがただ青麦みたいに見えるからふりかざされるまえに答える
沈黙に守られながらいたいといいてももろびとのやかましさ
光り降る二月の夜だってことを抱きながらふるえるわれよ
若かりしぼくの標本をアルコールから救いだしてよ
だってまたぼくがわるいといいながらきみのことすらぼくはおろが
青くさいいじっぱりだとみずからをかばってやれず唇を咬む
さまざまの過古のはざまに存るという出生拒む黒いみどりご
眠らない木々のようにはいられないダンス、ダンス、
おもかげにさかりたるままあればいい・
*
なにか叫びたるような声がして一匹の蟻を浮かべたにんぎょうの町
ほころびにまみれた産着落ちてるとかわいいひとがまたも過ぎ去る
喪いしものみなとるにたりはせぬとはくさいの虫など殺すひととき
愛などといものはそもなくて愛という語のためのつきまとい
解釈すればはなはだはらだたしいないがしろにされたものたちのひ
あ、みんなは去っていくんだ・ぼくがきらいだから・
愛などにあこがれたまま頓死するのがせいぜいだろうと青葱を切る
事実としてなんの根拠になろう? いずれも夢の終わりには
だれも手にどどかないのならなにも欲しくない 戸の開閉かぎりなくつづく
蛆光るときの恍かがいつまでもぼくのうしろに横たわるから気をつ
*
きみにとりなにを意味するものがあろう情けのつゆもないまなざし
展示さるる奉教人の木乃伊よりいまとりださん不信心など
だからなんだ、桃のような月のかげに口腔の血がうずくまま
とどまりつづけるわけにいかない・灯りがもう点っている
だんだんとスピードを増し9階の階段裏で消える潮騒
うたぐってる、まだあかときの訪れもなき路上になって
コーナーにのぞみ絶たたれて斃れたる拳闘士のはるかなかげえ
暗殺の夜々ひとり待っているおまえが来るという手なぐさみ
どうかまたあのうそを吐いてくださいと告げるきみに取り憑かれ
こういうわけでいつまで古靴の紐をもてあましています
*
もう起きあがることもできません・えいえんを着た馬が視ている
折り合えることも知らずにてんてんとちがった土を歩くのみかな
星にさえ追い放たれて観望の子供のひとりおれを笑った
なにもかも交換できてしまうからせめてあなたをうたぐっていたい
おたがいに背中をむけて坐るときどうして花は冷たいのだろう
波打ってくずれるひとよ鶏肉のような色して死んでしまえよ
でもおれはかまわない裁きすらもいつか夢見た観覧車みたく
時を壁にぬりこめてなおひきがえる時計、あるいは時計
変わらなくては、変わらなくてはとときにおもうもながい誘導遠心
かのひとの苦膚の棘みたく存りたいと願うも夢は終わり
*
おもいでに遠く切りはなされて呼ぶだれのなまえも忘れてるのに
髁ひらうひともなきゆえふゆぞらがいっぱいとなる野ざらしのぼく
教えられる、すべてはうつろだとチューイン・ガムのなかの町角
ふたたびを生きねばならぬ死なねばならぬ茎はるか翳むところまで
くりかえし巻きもどされてしまっても投影されるづける頬の血
あなたという器のなかに顔うずむ、あなたというひとを赦せよ
しめさばのすっぱい真冬くりかえす正午に於けるぼくの対処は
おろかだったばかだったはずかしいいまもいじましいいまもいまも
かたわらでだれかは踊る、それだけがぼくが望んだいちばんさいご
ひとしれず放下の果てを死ぬべきとして黄色くなったセロリの葉っ