短歌日記40

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 愛されてゐしやとおもう牧羊の眼のひとついま裏返る


 流されて種子の絶滅見送れば秋の色さえ透き通るかな


 足許を漂う季節いつかまた看板ひとつ降ろされてゐる


 涙とは海の暗喩か岩場にて蟹の死骸を見つむる午後よ


 さらばさらばよ石くれの硬さをおもうわれの郷愁


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