2024-03-26 をとこ来ぬ 詩 ふなかげの淡さの陽炎午睡して 踏む浪や月のかたちに触るるまで 夏の夜に灯台守が泳ぎ着く 海見ては孤独のありか確かむる 廃屋の佇む秋よ尻屋崎 朽ちる家営みもまた暮るるのみ 去るときを地平のなかの棟とせる わがうちの愛猫秋の茎を咬む 冬瓜のあばらに游ぶ雨垂れや 冬ごもる街灯ばかり影長し 見晴るかす頭を垂れる椿たち 師走来て十七音の猫が翔ぶ 海亡ぶ溲瓶の果ての氷河視る 禊とは夏の季語なり男来ぬ