2024-03-26から1日間の記事一覧

をとこ来ぬ

ふなかげの淡さの陽炎午睡して 踏む浪や月のかたちに触るるまで 夏の夜に灯台守が泳ぎ着く 海見ては孤独のありか確かむる 廃屋の佇む秋よ尻屋崎 朽ちる家営みもまた暮るるのみ 去るときを地平のなかの棟とせる わがうちの愛猫秋の茎を咬む 冬瓜のあばらに游…

倉庫街のタンゴ

倉庫街のタンゴ ベルが耳をつん裂くようにけたたましく十秒ほど鳴って、止まる。 サミュエル・ベケット『しあわせな日々』 * 照明器具 入出庫作業 在庫整理 ピッキング 派遣からの正社員登用アリ──求人広告 * かれにとっていまいましい月曜日の、早い時間…