曇ったガラスに朝がさす。その男は目を細め、
バスの中央に立つ。かれの前には小さなテーブルがあって、
太いかげがかれの姿をもちあげる。壁の絵はさかさまに飾られ、
青のラインはかれを走る。窓には白と灰が混ざり、
ているのだ。ぼくは目を閉じて耳を澄ます。
白としてぼくに話し掛ける。
ぼくはテーブルのうえを観察してみた。銀色の櫛、
き。物語から遁れたいっぴきのとかげが干からびている。
りの友人がもうじき訪ねてくるはずだ。
窩が、そのとき不意にやわらいでぼくにささやいた。──
に含むか含まないかの位置で止め、じっと底を見ている。
あくまで渇きを曳きながら、ぼくは水があるものと願い、
のだ。それでもかれは水を呑み終え、秋はもうまぢかにある。