2024-01-19から1日間の記事一覧

夏のよるべ

かつて昭和記念公園でわたしは森忠明と歩いていた あじけない夏の夜でしかなかった わたしは先生と話しながら 東京都市の暑さのなかで これからの人生についてみじかい詩句をひねりだそうとしていた 先生はいった、──"帰らぬといえぬわが身の母捨記"って季語…

ムンクの星月夜

さみしさがどうにもならないとき、口のなかで爆発する薄荷飴を数えて、 ひとつの動作から、もうひとつの動作へと移ろう、おれは孤立者 いままであったことのぜんぶ、経験のぜんぶを蔑(みな)すだけで、 たった1日から1週間までが消滅する、おれは孤立者 い…

ぼくらが幽霊になるまで

捧げられたものと与えるものの区別がつかないままで、 ぼくは語って、きみは答えた、のはぜんぶがぜんぶ正解じゃないから なにものともつかない悪夢を乗せて亡霊がインターステイツを走る あかときのまぼろしみたいなかたちでもって説明書を読むとき、 セメ…