the burn out dreams

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 どっかで「書くことによってじぶんを傷つけている」ブコウスキーは書いてる

 そうとも、多くの作家志望はそんなありさまだ

 文芸は長期的に見ると、とても不愉快だ

 毎回、じぶんが幸福でないことを確かめることなのだから。

 幸福の原感覚を持ないおれに

 いったいなにができるのかという疑問を

 いつも突きつけられている

 遠かれ近かれ、自己洞察や自己限定に接続された文学は

 やがて書き手の魂しいを危機に追いやりさえする

 自己とは無縁のことを書き綴る作家もいるが、

 おれはそうじゃない

 おれはそんなに器用じゃない。

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 あたりまえのことをあたりまえにやれないじぶん。

 どっからやって来て、なぜいまここに至るのかを考えていた
 
 なにもできなかった、なにもいえなかった歳月

 これまでやった殺しの数々

 だれもがマネシツグミのように

 通りを横切ってゆく

 おれにはもうなにも書けない気がする

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 桜はもう散ってしまった

 次は安いモノクロ・フィルムでも買おうか

 3本セットで¥2,000と端数だ

 モノクロには自信がないが、

 とりあえずの処し方だ

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 だんだんと、じぶんの空虚さが

 浮き彫りになってしまった

 それを埋めるのは方法か、分裂か

 もはや精神病院がなんの助けにならないことを知ってる

 やつらにはひとを治療なんかできないのを知ってる

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 おお、おれは手放してしまう

 これまで書いた多くのことをだ

 もはや帰って来ない大鳥に

 捧げるものはなく、

 いまという時間のなかで分割された欲望を羽のように仕立てて、

 地平線の起源すらも忘れて、

 過去のなかに埋没してしまうんだぜ。

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